

レバレッジ取引ができるサービス
ビットコインの投資では、レバレッジを利かせた取引ができます。すなわち、手元資金よりも大きな金額の取引ができます。しかし、各取引所の説明を見ますと、名前の段階からかなり違うことが分かります。
そこで、各取引所のレバレッジ取引を分類し、それぞれの特徴を整理します。最初に、「レバレッジ取引とは何か」を確認しましょう。
レバレッジ取引とは
レバレッジ取引とは、自己資金よりも大きな金額で売買できる取引をいいます。

このレバレッジを効かせた取引をすると、利益や損失はどうなるでしょう。
例えば、取引所に10万円入金したとしましょう。そして、40万円分の取引をしたとします。自己資金に比べて4倍の取引をしていますから、レバレッジは4倍です。
この取引で、10万円分の利食いに成功したとします。
取引額40万円に対して10万円の利食いですから、見た目の利幅は25%です。しかし、自己資金は10万円です。
10万円を投入して10万円を獲得したのですから、実質の利幅は100%となります。
入金額に対してレバレッジの倍数分利幅を大きくできるのが、レバレッジ取引の特徴です。
同時に、損する時も、入金額に対してレバレッジの倍数分大きい数字になります。よって、諸刃の剣(もろはのつるぎ)と表現されることもあります。
損失リスクに警戒しながら、大きな利幅を狙います。
レバレッジ取引と現物取引の違い

ここで、レバレッジ取引と現物取引を比較しましょう。
現物取引:
- ビットコインそのものを売買する
- よって、外部ウォレットに送金できる
- 自己資金の範囲内でのみ買える
- 売りから始めることはできない
レバレッジ取引:
- 数字上の話であって、実際に現物を売買しているわけではない
- よって、外部ウォレットに送金できない
- 自己資金よりも大きな金額で売買できる
- 売りから始められる
レバレッジ取引の「数字上の話であって、実際に現物を売買しているわけではない」が分かりづらいかもしれません。
10万円を入金して40万円分の取引をするということは、30万円を借金したのか?という話ですが、借金していません。
計算上、40万円分の売買をしたことにしましょう、というだけです。よって、レバレッジ取引でビットコインを買っても、外部ウォレットに送金できません(計算上の売買であり、現物を持っていないから)。
また、売りから取引を始めることもできます。
このあたりの詳細につきましては、別記事「仮想通貨のFX(証拠金取引)とは」でご確認ください。分かりやすく解説しています。
各取引所のレバレッジ取引の扱い
各取引所のレバレッジ取引に関する説明では、まず、呼称から違っています。例えば、以下の通りです。
取引所名 | 呼称 |
---|---|
GMOコイン | レバレッジ取引、FX |
DMM Bitcoin | レバレッジ取引 |
コインチェック(coincheck) | 信用取引、レバレッジ取引 |
ビットフライヤー(bitFlyer) | 先物、FX |
これらはすべて、レバレッジを使った取引が可能です。では、取引の仕組みは全て同じでしょうか。・・・実際にはかなり異なります。そこで、その内容を確認しましょう。
レバレッジ取引の4類型
レバレッジを利かせた取引と言えば、3つあるといえるでしょう。FX、信用取引、先物です。
そして、4番目の類型として、レバレッジ取引があります。「レバレッジ取引」の言葉の使い方には、一定の注意が必要です。
1FX
一般的には、FXと言えば外国為替証拠金取引を指すでしょう。この場合、顧客から見て、取引の相手方はFX業者です。取引に際し、お金をFX業者から借りるわけではありません。差金決済です。
FXの詳細については、「仮想通貨のFX(証拠金取引)とは」をご覧ください。
2信用取引
一般的には、信用取引と言えば株取引を連想する場合が多いでしょう。この場合、顧客から見て、取引の相手方は他の市場参加者です。売買に際し、資金や株式などをあらかじめ借りる取引を指します。
なお、上の説明では、FXと信用取引の違いが良く分からないかもしれません。そこで、もう少し詳しく考えます。
信用取引の場合、資金または株式等を借ります。そして、それを使って売買します。例えば、信用買いする場合、証券金融会社から融資を受けて買うことになります。融資ですから、返済期限があります。返済期限がないという取引もあります。
一方、FXの場合は、取引に際してFX業者からお金を借りて自分のものにするわけではありません。FX業者の手元にある資金をそのまま使って売買します。融資でないので、返済期限はありません。そして、取引開始と終了時の差額だけ資金をやり取りします。これを差金決済といいます。
このような違いはありますが、「他人の資金を使って取引する」という点は同じでしょう。そしてもう一つ、先物があります。
3先物
一般的には、日経平均先物などを指すことが多いと思います。この場合、顧客から見て、取引の相手方は主に他の市場参加者です。先物取引とは、特定の期日に特定の商品等を、特定の金額で売買するという約束のことです。
例を見ながら考えましょう。
今は資金がないけれど、1か月後には資金があるとします。そして、その資金を使って、日経平均を買いたいと考えたとします。しかし、今はお金がないから買えません。
そこで、「1か月後に日経平均株価を××円で買うよ」という約束をして買います。これを先物取引といいます。1か月後に価格が急騰していても、約束した値段で買えますから利益になります。その逆なら損になります。
4レバレッジ取引
レバレッジ取引は、おそらく仮想通貨独特の表現です。そして、複数の意味がありますので注意が必要です。
一般的には、レバレッジを使う取引をまとめてレバレッジ取引といいます。よって、FXも、先物も、信用取引も、全てレバレッジ取引です。
もう一つの使い方は、「取引所でFXと同様のレバレッジ取引をする場合に、レバレッジ取引と呼ぶ」という例です。代表例は、GMOコインです。下の使い分けをしています。
・販売所のレバレッジ取引:仮想通貨FX
・取引所のレバレッジ取引:レバレッジ取引
レバレッジ取引の意味は、業者によって少し異なります。よって、多くの場合「レバレッジ取引とは、レバレッジを使う取引をまとめて表現したもの」という理解で大丈夫でしょう。
FX、信用取引、先物の違いが、トレードにどのように影響する?
では、上で確認した違いは、私たちのトレードにどのように影響してくるでしょうか。類似点と相違点を確認しましょう。
なお、レバレッジ取引は、ここではFXと同じとみなします。実際の取引においても、多くの部分でルールはFXと同じです。
FX、信用取引、先物の類似点
3つの取引の類似点は数多くありますが、「入金額よりも大きな金額の取引ができる」ことが最大の類似点でしょう。
現物取引の場合、手元資金が10万円ならば取引可能額も10万円です。しかし、レバレッジを利かせた取引の場合、10万円よりも大きな額で取引可能です。手元資金の何倍まで取引できるかというのは、ビットコイン業者や取引設定によって異なります。
取引所間のレバレッジ比較につきましては、別記事「取引所のレバレッジを比較」でご確認ください。
FX、信用取引、先物の相違点
では、相違点はどこでしょうか。この3つはそもそも違う取引方法ですから、様々な点で相違点があるでしょう。そこで、私たちユーザーから見て異なる点に絞って考察しましょう。
相違点1:取引期限
例えば、レバレッジを使ってビットコインを買ったとしましょう。その買ったビットコインを決済しないで、そのまま持ち続けることができるか?ということです(取引を終了することを「決済」といいます)。
FX型 | 期限無し |
---|---|
信用取引 | 返済期限あり |
先物型 | 限月(げんげつ)で決済 |
FX型:いつまでも保有可能です。
取引開始日に決済しても良いですし、極端な話、1年後に決済しても大丈夫です。ただし、レバレッジ手数料の支払いがありますので、長期の保有には向きません。
信用取引:仮想通貨や資金を借りて取引します。
よって、返済期限があります。返済期限になると、自動で再借入れして取引を継続できます。何らかの理由で再借入れできない場合は、期限が到来したら取引は終了となります。
先物型の取引は、限月(げんげつ)で決済します。
先物とは、将来の特定の日に特定の価格で買います(売ります)という約束をして取引する方法です。その特定の日を限月と言います。
よって、限月が来たら取引は終了です。それよりも長期間保有したかったら、改めて別の限月で取引します。なお、限月が来る前に取引を終了させることもできます。
相違点2:レバレッジ手数料(スワップポイント)
業者名 | 1日あたりの金利 | ||
---|---|---|---|
買い | 売り | ||
FX型 | GMOコイン | △0.04% | △0.04% |
DMM Bitcoin | △0.04% | △0.04% | |
コインチェック | △0.05% | △0.04% | |
ビットフライヤー | △0.04% | △0.04% | |
信用取引 | コインチェック | △0.05% | △0.04% |
先物型 | ビットフライヤー | △0.04% | △0.04% |
スワップポイント、借入手数料、レバレッジ手数料など、取引所によって名前が違います。しかし、本質的には同じです。他人の資金を使って取引しますから、手数料が必要ということです。
しかし、先物は違います。「ある特定の将来の日付に取引するという約束」ですから、他人の資金で取引しているわけではありません。すなわち、金利は不要です。
なお、bitFlyerの「Lightning Futures」の先物取引は先物ですが、日々の経費が必要です。これは、名称に関わらず「取扱手数料」という意味合いでしょう。
短期取引の場合、この金利はあまり問題にならないかもしれません。というのは、ビットコインは値動きが大きいので、この金利は誤差の範囲だといえそうだからです。
しかし、10日間、20日間とポジションを継続的に保有する場合は、レバレッジ手数料(スワップポイント)が気になるかもしれません。可能な限り短期で決済しましょう
少々細かい話まで踏み込んでしまいましたが、ビットコインのレバレッジ取引の類似点と相違点を確認しました。どれが優れていて、どれが悪いというものではありません。皆様のお好みの方法で取引しましょう。
では、各取引所はどの取引方式になるでしょうか。順に確認しましょう。
FX型のレバレッジ取引ができる取引所
FX型の取引ができるのは、以下の通りです。
- GMOコイン
- DMM Bitcoin
- コインチェック
- ビットフライヤー
この記事でご案内しています全ての取引所・販売所で、FX型のレバレッジ取引が可能です(ただし、2019年9月現在、コインチェックはレバレッジ取引を休止しています)。
それだけ、FX型のレバレッジ取引が一般的だということでしょう。
この中で特徴的な業者を2つ挙げましょう。GMOコインとDMM Bitcoinです。
GMOコインは、取引所と販売所の両方でレバレッジ取引が可能です。取引の手段が他の業者よりも多い分、選択肢が広がりますので有利です。
そして、DMM Bitcoinは、取引可能な銘柄数が10を優に超えており、業界最高水準を誇ります。多くの銘柄の中から、お好みのトレード対象を選べます
先物型のレバレッジ取引ができる取引所
ビットフライヤーでは、FX型に加えて、先物型の取引もできます。
ビットフライヤーの先物取引は、FX型取引に決済期限が設定されていると理解すると、分かりやすいでしょう(よって、FXと同様にレバレッジ手数料が必要になります)。
決済できずにいつまでもトレードを続けてしまう…という悩みがある場合、こちらを検討してみましょう。
信用取引型のレバレッジ取引ができる取引所
コインチェックでは、FX型に加えて信用取引もできます(ただし、2019年9月現在、コインチェックは信用取引を休止しています)。
取引所での取引ですので、取引の相手方は、他の市場参加者です。
MT4が使えるビットコイン取引所【BITPoint】
ビットポイント(BITPoint)では、外国為替証拠金取引(FX)と全く同じ形式の取引が可能です(ビットポイントFX)。取引の相手方は、ビットポイントになります。
この取引では、MT4というツールを使います。MT4は、外為FXで世界的に使用されている超高性能取引ツールです。
また、BITPointは、MT4でのサービス提供に際し、カバー取引をしています。よって、安心して取引できます。
用語:カバー取引
顧客が買い注文を出す場合、業者は売ります。すなわち、業者は売りのポジションを持ちます。その後、価格が上昇すると、業者は損になってしまいます。そこで、業者は顧客に売ると同時に他の業者から買い付けます。こうすることで、業者はポジションをゼロにして価格変動リスクを排除します。
すなわち、業者にとっては、顧客との売買と他の業者との売買のわずかなレート差で収益を得ることになります。まさに薄利多売です。
次頁は、各業者の「強制ロスカットになりづらい」口座を比べてみます。