

チャートと言えば、特定の暗号資産1種類の値動きを表示することが多いです。
そうではなく、1つのチャートに2つ以上の通貨を同時に表示して、値動きを考える方法があります。このチャートを「比較チャート」と言います。複数の値動きを比較できます。
DMM Bitcoinで利用できますので、その使い方を考察しましょう。
比較チャートの表示方法
DMM Bitcoinのトレード画面にログインしましたら、画面左上にある「メニュー」をクリックします。すると、「比較チャート」が出てきます。下の絵の通りです(以下、全てDMM Bitcoinからの引用です)。これをクリックします。

すると、下の画面が出てきます。比較チャートです。今回は、記事に収まるよう、小さめのチャート表示にしています。チャートの大きさを自由に変更できますので、できるだけ大きくして確認しましょう。

チャート機能
比較チャートの主な機能を、画面を見ながら確認します。

1.銘柄選択
比較したい銘柄を、最大4つ選択できます。1つのチャートに複数の値動きを表示しますので、チャート画面はできるだけ大きくした方が分かりやすいです。
2.時間軸
上の画面では「日」とあります。1日単位で値動きを表示します。お好みの時間軸を指定しましょう。
3.銘柄の価格
上の1で選択した銘柄につき、現在の価格等が表示されます。
4.チャート画面
ここで、選択した銘柄の値動きが表示されます。
5.値動きの単位
縦軸の単位は、「円」や「BTC」ではありません。「%」となっています。これは、価格水準や単位が全く異なる2銘柄を表示するための工夫です。
たとえば、BTC/JPYのチャートの場合、縦軸の単位は「円」です。ETH/BTCの場合、縦軸の単位は「BTC」です。縦軸を円とBTCの2つにするという描画方法もありますが、DMM Bitcoinでは%を採用しています。
縦軸の単位は1つだけの方が、読みやすいでしょう。
6.チャート表示範囲
この小さなチャートを使って、上の大きなチャートに表示する期間を選択できます。
チャート分析例
では、比較チャートを使って、実際に分析してみましょう。今回は、ビットコイン/円(BTC/JPY)と、イーサリアム/円(ETH/JPY)にしてみます。
下の比較チャートに、赤の矢印を追加しました。

上の矢印で分かることは、以下の通りです。
ETH/JPYの価格が、BTC/JPYよりも大きく上に動くと、ETH/JPYは、BTC/JPYの水準まで下落しています。
今後もこの傾向が続くと思えば、取引の参考になります。ただ、上の矢印で得た内容は、チャートを見て直感的に感じることです。
もう少し具体的に、数字で把握したいと思うかもしれません。その場合、「相関分析」を使えます。
相関分析
相関分析とは、複数の値動きの連動性を分析する方法です。-1から+1の範囲で表示します。
- +1に近いとき:一方の価格が上昇すると、他方の価格も上昇しやすい
- -1に近いとき:一方の価格が上昇すると、他方の価格は下落しやすい
- 0に近いとき:2つの銘柄の値動きに、関係性は見出されない
この相関分析を使えば、複数の暗号資産の値動きを、勘でなく数字で把握できます。相関係数の表示方法は以下の通りです。
1.下のチャートの赤枠部分をクリックします。

2.「相関分析」をクリックします。

下のチャートの赤枠1、2の部分に、相関係数が表示されます。2の使い勝手が良いでしょう。BTC/JPYとETH/JPYの値動きの相関分析が、グラフで表示されます。

2のグラフを見ますと、+1に近い位置で動いていることがわかります。すなわち、「BTC/JPYの価格が上昇するとき、ETH/JPYの価格も上昇している」ことが分かります。
なお、「BTC/JPYの価格が上昇するとき、ETH/JPYの価格も上昇している」なのか、それとも「ETH/JPYの価格が上昇するとき、BTC/JPYの価格も上昇している」なのかについては、分かりません。
すなわち、どちらの銘柄の動きが先なのか?は分かりません。
ただ、取引数量や知名度等を考えると、BTC/JPYが先だろうな、という予想ができます。BTC/JPYが先に動いて、それに引っ張られるようにしてETH/JPYが動くということです。
ここで、上の絵の赤枠3をドラッグして左側に動かしてみましょう。チャートの表示期間を広くします。結果、下の通りになりました。

赤枠で囲った、相関係数の推移をご覧ください。左側では、大きく上下動しています。-1に近いときもありますし、+1に近い場合もあります。
すなわち、「BTC/JPYとETH/JPYの値動きの間に、関連は薄かった」と言えます。しかし、右側に進むにつれて、グラフは1に近づいています。しかも、グラフの上下動は次第に小さくなっています。
ということは、「最近のBTC/JPYとETH/JPYの値動きは、同じ方向に進むことが多い」と言えます。
相関分析と比較チャートを使ったトレード手法
ここまで来ると、具体的にトレード手法(案)が浮かんできます。
手法1:
BTC/JPYとETH/JPYの値動きが異なる方向に進んだら、再び同じ方向に戻るだろう。
相関係数が1に近いということは、価格が上昇するとき、BTC/JPYとETH/JPYの両方とも価格が上昇するということです。これに反する動きが出れば、そこはトレードチャンスかもしれません。
再び、値動きの方向は同じになると期待できるからです。
手法2:
BTC/JPYのみで取引する。ETH/JPYは取引しない。
BTC/JPYとETH/JPYが同じ方向に動くならば、ETH/JPYの取引はお休みして、BTC/JPYに注力しよう、という考え方です。
これは、取引手法とは異なります。しかし、どの銘柄に時間と集中力を投入するかを考えるために、有効な指標になり得ます。
相関係数がゼロ近辺の場合
上の2つの銘柄は、相関係数が1に近い状態でした。次に、相関係数が0を中心にして動いている場合を確認しましょう。
ここでは、例としてETH/BTC(イーサリアム/ビットコイン)とETC/BTC(イーサクラシック/ビットコイン)を挙げます。

チャート右下の「相関分析」を見ますと、0をはさんだ値動きになっています。また、2つの銘柄が表示されたラインチャートを見ましても、値動きに特に関係はないように見えます。
こういった場合は、2つの銘柄を同時に狙う価値があるでしょう。
相関係数と分散投資
なお、暗号資産を分散して保有し、安全度を高めたいという場合もあるでしょう。何種類か暗号資産を保有していて、ある暗号資産の価格が下落しても、別の暗号資産の価格が上がればOK、という考え方です。
この場合も、相関係数は有効です。
というのは、上の分析で確認しました通り、少なくともこの記事を投稿した時点では、ビットコインとイーサリアムを同時に保有するのは、分散効果がないと言えるからです。この2つの相関係数は、+1に近いです。
すなわち、以下の通りです。
- ビットコイン価格が上昇するとき、イーサリアム価格も上昇しやすい
- ビットコイン価格が下落するとき、イーサリアム価格も下落しやすい
これでは、分散保有して安全度を高めようとしても、できません。相関分析は、短期的なトレードでも、比較的長期のトレードでも活用できます。
DMM Bitcoinで取引
最後に、注意事項です。暗号資産価格は、取引所・販売所ごとに価格が大きく異なることがあります。これは、株式等と異なる特徴です。
すなわち、DMM Bitcoinの比較チャートで分析した結果は、DMM Bitcoinだけで有効、という可能性があります。短期トレードであればあるほど、その可能性が高まります。
そこで、DMM Bitcoinのチャートで相関分析を実行した場合は、DMM Bitcoinで取引する必要があります。データの分析結果を、できる限り正確にトレードに反映させるためです。分析は正しいのに、取引業者を間違えて損になったら、あまりに残念です。
これは、一般的なチャートを使う場合も同様です。今、自分が見ているチャートの会社で取引しましょう。