長期的に見て、ビットコイン価格は上昇する?
ビットコインには採掘(マイニング)という仕組みがあります。この採掘によって、およそ10分ごとにビットコインが新規に発行されます。すなわち、総発行量が増えていきます。
しかし、この10分ごとの産出量はずっと一定というわけではありません。一定間隔でマイニング報酬が半減を繰り返し、最終的には2140年に総産出量が2,100万ビットコインになったところで新規発行は終了します。
すると、こんな考えが浮かぶかもしれません。
「ビットコインのマイニング報酬が半減するときに、ビットコイン価格は上昇するのでは?」
ビットコインは一定数量ずつ産出され、新規に市場に流入しています。この状況で、資金がビットコイン市場に流入しないとするならば、ビットコイン価格は低下する一方のはずです。しかし、そうなっていないのは、追加でビットコイン市場に投入される資金があるからです。
実際には、ビットコイン価格は上昇傾向にあります。すなわち、ビットコイン産出量よりも資金流入額の方が大きいということです。
ということは、半減期を迎え、市場に新規に流入するビットコインの量が減少すれば、価格高騰につながりやすいのでは?ということになります。
ビットコインの半減期(2016年7月)その後
ビットコインの半減期は、2016年7月にありました。この時の価格変動を確認しましょう。チャートはCoinMarketCap(http://coinmarketcap.com/)からの引用です(以下同じ)。

緑色の線と青色の線があります。緑色は価格推移、青色は時価総額を示します。ここでは緑色に注目しましょう。この値動きには、どのような特徴があるでしょうか。

大雑把に赤線を追加しました。半減期を迎えると、価格水準が上昇していることが明らかです。ただし、素直に価格水準が上昇するのではありません。よく見ると、価格上昇は5月末くらいから始まっています。価格上昇のピークは6月20日くらいだと分かります。
半減期は2016年7月でしたから、それよりも早く価格が上昇していることになります。また、大幅に価格が上昇してから下落し、結果として以前よりも価格水準が高い位置に落ち着いたという感じに見えます。
なお、チャート下の灰色部分は出来高(取引高)を示していますが、この値動きの過程で一時的に取引量が増えたことが分かります。
この値動きの理由は不明ですが、ビットコインの半減期を狙って早めに買っておこうと考えた人が多いのでは?と予想できます。そして、あまりに多くの人が買ったので価格が上昇しすぎ、今度は売って利益を確定しようとした人が殺到した・・・こんな風に予想できます。
では、この値動きは偶然なのでしょうか。それとも必然なのでしょうか。ビットコインと同じ思想で作られているライトコイン(Litecoin)で確認してみましょう。
ライトコイン(Litecoin)のケース
ライトコインはビットコインと同じ思想で作られており、マイニング報酬の半減期を2015年8月に迎えています。2015年8月前後の価格推移を確認すれば、半減期に関するビットコインの値動きが偶然なのかどうかについて示唆を得られるでしょう。
ライトコインのチャートは以下の通りです。価格推移はオレンジ色の線です。

チャートの中ほどで半減期を迎えました。このチャートを見ると、ビットコインの半減期と同じような値動きに見えます。念のため赤線を追加してみましょう。

半減期の前と後では、明らかに価格水準が異なります。また、価格水準が上昇する過程についても、ビットコインとそっくりです。
- 半減期は2015年8月だが、価格上昇は6月から始まっている。
- 価格が大幅に上昇し、その後下落。結果として半減期前よりも高い水準で落ち着いている。
- 価格の上昇と下落の過程で、取引量が増大している。
今後の半減期でも同様の動きになるかどうか、それは分かりません。しかし、同じパターンで価格が推移しても全く不思議はありません。
半減期を狙うトレード(案)
今後の半減期でも、上で考察したのと同じような値動きになると考えたとしましょう。この場合、どのようなトレード手法が考えられるでしょうか。
トレード案1(買い)
半減期を迎える時期よりも1か月以上前にビットコインやライトコインを買い、価格が急上昇したら売却。ただし、長期的に持ち続けるというプランもあり。
トレード案2(売り)
半減期を目の前にして価格が急騰したら、売りチャンスを狙う。そして、下落し始めたら売り。ただし、長期的には保有しないで、短期間での勝負とする。
難易度としては、トレード案1の方が易しいように見えます。ただし、半減期でいつもこの値動きをするとは限りません。そこで、このトレードに挑戦するとしても、取引量は控えめにして、損切り注文も出した方が安全でしょう。