

グループでビットコインを採掘
採掘のために次々にコンピュータが投入され、それに伴って正解のノンスを当てるための計算が高度になると、個人のパソコンでは全く太刀打ちできなくなります。
また、性能が高いコンピュータを使っていても、時間が経過すればさらに優秀なコンピュータが導入されて苦戦を強いられることになります。
すると、単独で戦うよりも、チームを組んで戦ったほうが有利だという発想になるのは自然でしょう。こうして、「マイニングプール」という考え方が出現しました。そして、実際に計算した貢献度によって獲得したビットコインを分配します。
マイニングプールのシェア
下のグラフは、2016年1月31日時点のマイニングプールのシェアを示したものです(引用元:https:blockchain.info/pools)。

このグラフを見て分かりますとおり、計算力が高い、すなわちシェアが大きいマイニングプールがいくつかあることが分かります。仮に、これらのマイニングプールが結託して不正を働くと、どうなるでしょうか。
もしかすると、マイニングプールによる51%攻撃が成功するかもしれません。
ちなみに、2017年3月18日時点のマイニングプールのシェアは下の通りです。

さらに、2018年4月10日時点のマイニングプールのシェアは下の通りです。

加熱するマイニング競争
わずか数年間ですが、勢力図が目まぐるしく変化していることが分かります。シェアの推移を、具体的に見てみましょう。
F2Pool
- 2016年1月:25%(1位)
- 2017年3月:13.5%(2位)
- 2018年4月:7%(7位)
AntPool
- 2016年1月:20%(2位)
- 2017年3月:16.3%(1位)
- 2018年4月:12.1%(2位)
BTC.com
- 2016年1月:なし(-)
- 2017年3月:3.9%(11位)
- 2018年4月:26.9%(1位)
順位の入れ替わりがすさまじいことが分かります。F2Poolは、シェアを一気に落としています。AntPoolは、順位は維持していますがシェアは落ちています。一方、BTC.comは素晴らしい躍進です。
マイニング競争の壁
このように激しい戦いが繰り広げられていますが、マイニングプールはそれぞれ、下の3つの厳しい現実と向き合っています。
- 採掘報酬は、時とともに半減を繰り返しつつ減少する
- 一方、マイニングで勝つには、継続的に高性能コンピュータを導入する必要あり
- それにつれて、消費電力が大きくなる可能性あり(=費用増)
こうしてみると、マイニング競争はとても厳しい戦いだと予想できます。
果たして、1年後、5年後はどのようになっているでしょうか。マイニングプールの栄枯盛衰を眺めるのも、興味深いかもしれません。
なお、2018年4月現在のビットコイン発行数は1,700万BTCくらいです。そして、ビットコインの総発行量は2,100万BTCです。実は、既に総発行量の80%がマイニング済です。残りの20%をめぐって、熾烈な戦いが繰り広げられています。
アルトコインのマイニング競争も激しい
上の状況を受けて、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)でのマイニングも盛んになっています。激戦区のビットコインを避けて、別の仮想通貨で頑張ろう!ということです。
よって、アルトコインでも、マイニングプール間の競争が激しくなっています。
個人でのマイニングはとても厳しくなっています。どうしても個人でマイニングしたい場合は、いわゆる「草コイン」等で戦うことになるでしょう。
マイニングプール同士は敵か?仲間か?
マイニングプールはお互いにライバルではありますが、同じ目的に向かって切磋琢磨する仲間(?)のようなものでもあるでしょう。そして、ビットコインはプログラムです。すなわち、プログラムを書き換えれば、ビットコインのルールそのものも変わります。
よって、マイニングプール同士が協定(?)のようなものを作って、ビットコインシステムをより良くするようにプログラマー集団と交渉を始めるというのも、おそらく自然な流れでしょう。また、そうしなければビットコインの安全性や将来性という点において、ユーザーからの信頼を得ることは難しいかもしれません。
コンピュータの技術は日を追うごとに進歩しています。それに合わせて、ビットコインやその他の仮想通貨のシステムも、修正や発展を遂げていくと予想できます。