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裁定取引(アービトラージ)の将来-引所間の価格差はなくなるか?

仮想通貨取引所の提示価格は、他の投資商品とは大きく異なります。下をご覧ください。ザイフ(Zaif)とビットフライヤー(bitFlyer)での、ビットコインの注文板です。Zaifだと、1,197,170円で買えますし、bitFlyerだと1,200,883円で買えます(赤枠部分)。

ザイフとビットフライヤーの価格差

売りたい場合も同様で、青枠部分をご覧いただきますと、取引所ごとに価格が異なっていることが分かります。

取引所ごとに価格が異なる理由については、別記事「ビットコインの取引価格(取引所間での差について)」でご確認ください。理由は明快です。そして、この価格差が数万円以上にもなることがあります。これを利用した取引を、アービトラージ(裁定取引)と呼んでいます。

裁定取引(アービトラージ)とは

裁定取引の方法につきましては、別記事「ビットコインで確実に利益を狙う方法を考える」でご案内しています。簡潔に書きますと、価格が安い取引所で買って、価格が高い取引所で売れば、ノーリスクで稼げるよね?という方法です。

このトレード手法、私たちにとってはとても都合が良いです。比較的小さなリスクで利益を狙えるからです。しかし、取引所(販売所を含む)にとっては、少々厄介な問題です。

GMOコインが高値で顧客から購入

実際に、その問題が顕在化しています。日経新聞の報道によると、この取引に絡んで、GMOコインが1億円ほどの損失を計上したのです。

GMOコインは、取引所でなく販売所です。すなわち、GMOコインが売買価格を提示し、GMOコイン自身が、その価格で顧客と売り買いします。この価格提示において意図しないトラブルがあり、他の取引所の価格と大きな差が出てしまいました。

高い価格を提示してしまったのです。そして、顧客はこの差に気づきました。

安い取引所でビットコインを仕入れて、GMOコインで高い価格で売却しました。顧客は大喜びです。一方、GMOコインは大変なことになりました。

各取引所の対応

当サイトがヒアリングした結果、取引所各社は、裁定取引(アービトラージ)を快く思っていないことがわかりました。全取引所にヒアリングしたわけではありませんが、多くの取引所にとって、裁定取引は頭痛の種かもしれません。

そこで、裁定取引(アービトラージ)を明示的に禁止している取引所もあります。例えば、QUOINEX(コインエクスチェンジ)です。「ご利用規約」の第13条に、禁止事項として裁定取引を挙げています。

その文章を下に転記します。

本サービス内において、アービトラージ取引を行い、又は、本サービス内の異なる通貨ペア間の価格差を利用して利益を得る若しくは得ようとする行為その他これに類似する行為

しかし、明示的に禁止するのは一般的ではないでしょう。顧客にとって面白くない事態です。また、アービトラージであっても、取引してくれるのは取引所にとってありがたいことです。

禁止して顧客が離れてしまっては、ダメージが大きいです。

そこで、特に販売所は、世の中の実勢価格と自社の売買価格が大きく乖離しないように、システム構築に注力することになります。取引所の場合は、売買するのは顧客同士であり運営会社ではありません。そこで、販売所ほどには苦労することはないかもしれません。

FX(外国為替証拠金取引)の場合

なお、取引する場所によって価格が異なるというのは、FX(外国為替証拠金取引)でも同様です。しかし、FX業者間で提示価格に大きな差が出るのは稀なことです。それは、「カバー取引」の仕組みによります。

FX業者は、販売所と同じ仕組みです。このため、顧客が米ドル円を大量に買い付ければ、FX業者はそれに応じて米ドル円を売ります。

その後、米ドル円が円高になれば、FX業者は大儲けです。しかし、逆に円安になると、FX業者は大損してしまいます。利益になるか損になるか、それは相場次第となってしまいますと、どこかで事業が行き詰ってしまうでしょう。

そこで、「カバー取引」を使って、この相場リスクを排除しています。

カバー取引の仕組み(例)

  • 1.顧客が、ある通貨ペアを買います。
  • 2.FX業者は、顧客にその通貨ペアを売るとともに、別の業者からその通貨ペアを買います。

カバー取引を使えば、顧客に売った数量だけ買い付けることになり、価格変動によるリスクをゼロにできます。顧客に売る価格と別の業者から買う価格を調整して、(少しだけ)利益を確保します。

これを図にすると、下の通りになります。顧客(一番左)がFX業者に買い注文を出すと、FX業者は顧客に売ります。同時に、別の業者に買い注文を出している様子が分かります。

カバー取引概念図

仮想通貨の世界でもこれが普及すれば、販売所間の価格差はほとんどなくなるでしょう。というのは、上の図の右側「別の業者」も、リスクを軽減するために別の業者と取引します。全世界的に業者がリスク分散のカバー取引をすると、価格は特定の値に収れんしていくためです。

まさに、FX(外国為替証拠金取引)と同じことが起きます。

仮想通貨のカバー取引の実現性

しかし、この期待(顧客にとっては期待ではないでしょう)は、実現が難しいかもしれません。

というのは、取り扱っている商品が違うからです。FX業者が扱っているのは、各国が発行している法定通貨です。米ドル/円などの流動性(取引可能数量)は、無尽蔵かと錯覚するほど巨大です。取引したいときに、いつでも取引可能でしょう。

しかし、ビットコインは供給量が少ないです。ビットコインを売買したいという人数に比べて、少なすぎるのです。すなわち、カバー取引をしたいと思っても、それに応じられる業者がいない場合があり得ます。

この場合、カバー取引が困難になります。ビットコイン先物などが発展すれば、それを利用したリスク分散取引が活発になるかもしれません。

しかし、それは今すぐに実現する、というわけではなさそうです。

裁定取引(アービトラージ)は、今しばらく有効

今までの話をまとめますと、裁定取引はもうしばらく有効に機能すると予想できます。そして、いつの日か、裁定取引が困難になるときが来るかもしれません。

しかし、取引所各社はAPI機能を顧客に提示しています。API機能を使えば、取引所の価格情報などを取得したり、自動売買プログラムを実行したりできます。

裁定取引は、現在は手動でも十分対応できます。しかし、最終的には、API取引による高度な戦いへと進化していくのかもしれません。

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