

ビットコイン,仮想通貨の二大リスクと対処法
仮想通貨の二大リスク
ビットコインを含む仮想通貨を取引する場合、FX(外国為替証拠金取引)や株式投資と異なるリスクを受け入れる必要があります。そこで、そのリスクのうち大きなもの2つを考察しましょう。
そのリスクとは、以下の2つです。
- 1.ユーザー自身が引き起こすリスク
- 2.取引所のリスク
そして、これらのリスクへの対処法を検討します。
ユーザー自身が引き起こすリスク
株式投資をする際、お金を証券会社に預けて株式を買います。また、FXで通貨ペアを売買する際も同様です。そして、買った金融商品(株式や通貨)は、自分の手元に置きません。パソコンのディスプレイで保有額などを確認します。
一方、ビットコインなどの仮想通貨は大幅に異なります。自分のビットコインを手元で保有できます。これは極めて大きな特徴です。
具体的には、「ウォレット(wallet)」と呼ばれるプログラムを自分のパソコンやスマホにインストールし、そこに仮想通貨を送って保管します。
ここで、仮想通貨を失ってしまうリスクが出てきます。
- リスク:パソコンやスマホが壊れる
- リスク:秘密鍵やパスフレーズを失ってしまう
- リスク:ウィルスに感染してしまう
一般的な冷蔵庫やテレビの場合、ハッキングの心配は不要ですし、5年や10年は故障しないで長持ちすることを前提にするでしょう。しかし、パソコンやスマホの場合、そうはいきません。
故障リスクはある程度ありますし、ウィルスに感染してしまうリスクもあります。秘密鍵を忘れるのは最悪の事態です。手元に自分の仮想通貨があるのに使えないという、笑えない状況となります。
ユーザー自身が引き起こすリスクへの対処法
では、これらのリスクを回避する方法を確認しましょう。
故障リスクへの対処法
PC等の故障リスクは、対応が比較的簡単です。と言いますのは、ウォレットには故障などに備えた「パスフレーズ」があります。これは、スマホなどを紛失したり故障したりしても、自分の残高を復活させる魔法の呪文です。
これができるのは、ビットコインを始めとする仮想通貨は「ただのプログラムにすぎない」からです。実物資産ではありません。
よって、何があってもパスフレーズを忘れてはいけません。同様に、秘密鍵も絶対に失ってはいけません。これらを失うと、回復は不可能となります。
ウィルスに感染するリスクへの対処法
この対処法は、大きく分けて3つに分けられるでしょう。一つは、インターネットに接続していない環境で仮想通貨を保管することです。これをコールドストレージ(cold storage)と呼びます。
ただし、インターネットに接続していないと、利用するのに不便です。そこで、大きな金額を保管する際の選択肢となるでしょう。
2つ目は、ワクチンソフトを常に最新に保つことです。これは仮想通貨の保管に限らず、パソコンやスマホ全体を脅威から守るために必要なことです。そして最後は、怪しいメールを開いたり、変なホームページを閲覧したりしないことです。
こうしてみると、コールドストレージ以外は特段難しいことではありません。自分の身は自分で守りましょう。
取引所のリスク
取引所が引き起こすリスクを2つに分けますと、ハッキング・倒産リスクと、取引所自身が犯罪をするリスクに分けられるでしょう。
取引所のハッキング、倒産リスク
取引所がハッキングされたり倒産したりするのは、取引所特有のリスクといえるでしょう。というのは、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)では、基本的にこのリスクが存在しないからです。
株式投資の場合
顧客が購入した株式は、ほふり(証券保管振替機構)により管理されます。証券会社が倒産しても、何かの事件に巻き込まれても、顧客の株式は安全に保たれます。
FXの場合
顧客の資産は、全て信託銀行で保管されます。このため、FX業者が倒産しても、顧客資産は安全に保たれます。
一方、ビットコインを含む仮想通貨の場合は、かなり異なります。「取引所による分別管理」が基本です。これは、顧客資産と会社の資産を会社の中で区別して保管していますよ、という意味です。株式投資やFXと比べて、安全度は落ちると言わざるを得ないでしょう。
取引所自身が犯罪を犯すリスク
取引所は、顧客の仮想通貨を預かります。預かるという場合、所有権は顧客にあるということになります。しかし、仮想通貨の取り扱いという意味では、取引所はあらゆることができます。
すなわち、顧客の仮想通貨を盗んでしまうことも可能です。そのうえで、計画的に倒産させて逃げることも不可能ではないかもしれません。
この、取引所自身が犯罪を犯した典型例は、Mt.Gox(マウントゴックス)です。詳細は別記事「Mt.Gox事件とは:ビットコインのリスクがそこにある」にありますので、ご覧ください。
取引所のリスクへの対処法
この取引所リスクへの対応は、実は容易ではありません。というのは、取引所の中身はブラックボックスで、顧客は内情を把握できないからです。そこで、できる範囲で対策をとることになります。
具体的な方法としては、金融庁に登録している取引所で取引することです(登録申請中含む)。許認可関係を含めて確かめたいことを、記事「ビットコインなどの仮想通貨で詐欺に遭わないために」にまとめています。ご覧ください。
金融庁に登録していない取引所に入金することは、リスクが高くなると考えて構わないでしょう。
では、金融庁に登録している取引所ならば、どこでも安全でしょうか。これは難しいところですが、金融庁に登録しているからといって、リスクを完全に回避できるというわけではありません。
そこで、安全を重視するならば、こんな取引所を選択できます。
選択肢1:上場企業が運営している
仮想通貨は新しい分野ですので、取引所は新興企業であることが珍しくないでしょう。すると、企業としての安定性について不安になるかもしれません。その場合は、上場企業が運営する取引所が選択肢になるでしょう。
例として、BITPoint(ビットポイント)を挙げることができます。
選択肢2:取引所独自の安全対策が充実している
取引所独自の安全対策の例として、bitFlyer(ビットフライヤー)を挙げることができます。具体的には、損害保険会社と契約を結ぶことにより、顧客が不正ログインによって損害を受けた場合、被害額を補償する仕組みを作っています。
また、会社が仮想通貨を保管しているときにハッキングなどの被害に遭う場合に備えて、別途損害保険に加入しています。
- bitFlyerのURL:https://bitflyer.jp/
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