

【仮想通貨】国産ウォレットの比較-安全性や保管できる仮想通貨の種類
日本国内では、多数の国産ウォレットが開発・公開されています。そこで、主な国産ウォレットについて、概略を比較してみましょう。
国産ウォレットの数
2018年9月18日時点で、当サイトが確認できた国産ウォレットは以下の通りです。全部で11種類あります。当サイトで確認できなかった国産ウォレットを含めると、さらに数は増えるでしょう。
- Canpayment
- Ginco
- Go!Wallet
- HB wallet
- IndieSquare
- Qurage
- RaccoonWallet
- Token Pocket
- Wei wallet
- Yenom
- もにゃ
では、上のウォレットを比較しましょう。ホームページで確認できる公開情報を利用しています。
国産ウォレットの相違点
最初に、相違点を確認します。
すべてのウォレットは、それぞれ異なる製品です。このため、特徴を際立たせようとすると、比較項目が多くなりすぎます。そこで、ユーザーにとって重要な点をいくつか選んで考察します。
相違点1:保管できる仮想通貨の種類
各ウォレットで、以下の仮想通貨を保管できます。
ウォレット名 | 保管できる仮想通貨の種類 |
---|---|
Canpayment | XRP、MONA |
Ginco | 17種類 |
Go!Wallet | ETH |
HB wallet | ETH |
IndieSquare | BTC、XCPトークン |
Qurage | ETH |
RaccoonWallet | XEM |
Token Pocket | ETH |
Wei wallet | ETH |
Yenom | BCH |
もにゃ | 28以上 |
上の表で、各仮想通貨の記号の意味は以下の通りです。
- BCH:ビットコインキャッシュ
- BTC:ビットコイン
- ETH:イーサリアム
- MONA:モナコイン
- XCPトークン:カウンターパーティトークン
- XEM:ネム
- XRP:リップル
概観しますと、ETHがとても多いと分かります。これは、ETHそのものというよりも、ETHを利用して開発されるアプリケーションに着目しているためでしょう。
また、「もにゃ」は28種類以上の仮想通貨を保管できます。Gincoも17種類です。数多くの仮想通貨を持っている場合は、これらのウォレットが選択肢になるでしょう。
変わり種(失礼!)としては、Canpayment、RaccoonWallet、Yenomを挙げられるでしょう。BTCでもETHでもない仮想通貨に特化して、保管や送受信が可能になっています。
すなわち、例えばRaccoonWalletは、ネムの発展とウォレットの発展が完全にリンクしていることになります。ネムが大いに発展すれば、RaccoonWalletも発展するでしょう。しかし、ネムが衰退すると、同様に衰退すると予想できます。
相違点2:スマホとPCで利用できるか
各ウォレットは、スマホでの利用を想定しているように見えます。よって、どのウォレットもスマホで使えます。しかし、PCで利用可能なウォレットもあります。
各ウォレットのホームページで確認できる限りでは、以下のウォレットがPCで利用可能です。
- HB Wallet
- RaccoonWallet
- もにゃ
スマホ利用人口の割合が増えていますが、PC利用者も依然として大勢います。よって、PCを主に利用する場合は、これらのウォレットが候補になるでしょう。
国産ウォレットの共通点
次に、主な共通点はを確認しましょう。
共通点1:無料
各ウォレットのホームページで、無料と明記していない場合も複数あります。しかし、無料を前提としている作りになっています(価格表示もありません)。よって、すべて無料だと考えられます。
実際にインストールする場合は、念のために価格を確認しましょう。
では、国産ウォレットの開発者は、どこから収入を得るのでしょうか。スタートアップの段階では、収入はゼロかもしれません。資金提供者が別にいて、最初はお金儲けを考えずに開発に集中するという例です。
その後、DApps(分散アプリケーション)等を提供して、徐々に収益化するのでは?と予想できます。
この場合も、基本機能(送受信と保管)については、無料が継続されると期待できます。有料にすると、ユーザーは他のウォレットに簡単に引っ越してしまいます。
共通点2:簡単操作
各ウォレットが強調しているのが、この簡単さです。従来の仮想通貨ウォレットは、多少の煩雑さが避けられない例がありました。しかし、ユーザーから見れば、簡単さは極めて重要な項目です。
よって、各ウォレットとも、画面の見やすさ、操作のしやすさに注力しています。
下の画像は、Yenomホームページからの引用です。実際にウォレットを使わなくても、簡単に操作できるだろうことが分かります。

共通点3:安全性を強調
仮想通貨は、他の金融資産に比べて盗難に遭いやすいというデメリットがあります。このデメリットを突かれて、取引所から仮想通貨が盗まれる事件が何度も起きてきました。
このため、ユーザーも開発者も、安全性に敏感になっているでしょう。それを反映してか、各ウォレットとも安全性を強調しています。ただし、実際にどれくらい安全なのか、それを確認するのは困難です。
安全性を確認する方法
各ウォレットの安全性を確認する方法として、アプリをダウンロードするページにある、ユーザーの投稿を読むという方法があります。何か不具合があれば、それを指摘する投稿が複数出てきます。
ここに不具合情報がなければOKということになります。
ただし、不具合そのものは、完全に回避するのは困難です。仮想通貨は今まさに発展している段階であり、発展途中の一時的な不具合は、避けるのが難しいという側面があるためです。
そこで、(不具合はない方が良いですが)仮に不具合がユーザーによって指摘されても、それに対して運営が即座に対応しているかどうかを確認しましょう。
不具合報告に対して、何らかのアクションをしている運営ならば、期待できます。一方、ユーザーの不具合指摘を放置する運営の場合、自分の仮想通貨が失われても、同じようにされてしまう可能性を否定できません。
ユーザーのコメントを読んで、活用しましょう。
共通点3:利用規約<リスク>
この項目は、リスク警告になります。多くの国産ウォレットで、利用規約がありません。あるいは、利用規約があっても、きわめて簡単な内容になっています。
仮想通貨取引所の規約に限らず、証券会社、FX業者、保険等の規約を見ますと、書籍にできるような量があります。普段はこれらの規約を意識する必要はないですが、イザというときには必要になるからです。
では、利用規約がないとは、どういうことでしょうか。基本的には、「盗難等に遭って仮想通貨が失われても、自分の手元に戻ることはない」と考えて差し支えないでしょう。
参考までに、ハードウェア・ウォレットの分野で有名な、「Ledger社の利用規約」を確認してみましょう。
規約として英語でいろいろ書いてありますが、全体的にさっぱりした内容です。そして、ユーザーの管理が不十分で仮想通貨が失われても、Ledger社は何もできないという趣旨が書いてあります。
Ledger社の製品に不具合がある場合や、何らかの理由でハッキングが起きてしまう場合への言及がありません。
仮想通貨ウォレットとは、そういうものだという理解が必要でしょう。
この点でいえば、仮想通貨取引所の安全性も警戒が必要です。コインチェック事件では仮想通貨が盗まれました。今では、金融庁の強力な監視の下で業務が運営されています。にもかかわらず、今度はZaifでも仮想通貨が盗まれました。
私たちにできることは、一つのウォレットにすべての仮想通貨を保管しないで、できるだけ多く分散することでしょう。一つのウォレットで仮想通貨が失われても、他のウォレットは生き残るということです。
monappyにおけるモナコイン盗難事件
これに関連し、モナコインを利用できるサイト「monappy(もなっぴー)」でのモナコイン盗難事件の概要を確認しましょう。
2018年8月から9月にかけてmonappyが攻撃を受け、ホットウォレットに保管していたモナコインがすべて盗まれました。コールドウォレットでの保管比率は54.2%でしたので、預かっていたモナコインのうち45.8%が盗まれた計算になります。
この事件での被害額は、およそ93,000MONA、被害に遭った人数は7,735人です。すなわち、一人当たり12MONAです。これは、時価換算で1,800円台です。
平均的なユーザーは、monappyに3,000円相当のモナコインだけ預けていたということになります。
以上のことから、monappyのユーザーは、リテラシーが高い層が多いと予想できます。多額のモナコインを一つのサービスに集中保管していなかったからです。
最終的には、monappy運営者からモナコインで返金される見込みです。しかし、仮に返金されなくても、ダメージは小さくて済んでいます。
ウォレットでの保管額は少なめに
以上、国産ウォレットの概要を比較しました。最後はリスク関連の文章が長くなりましたが、どのウォレットも使い勝手が良いように見えます。
あとは、どんなに便利で必要不可欠であっても、多額の仮想通貨を一つのウォレットに預けないという姿勢を維持しましょう。