

ビットコインでは、現物取引のほかにレバレッジ取引ができます。ここでは、レバレッジ取引のスワップポイント(レバレッジ手数料)について、ビットフライヤーを題材に考察しましょう。
仮想通貨FXのスワップポイント【bitFlyer FX】
bitFlyer FXは証拠金取引です。すなわち、FX(外国為替証拠金取引)やCFDと同じです。FXにはスワップポイントという制度がありますが、bitFlyer FXにもスワップポイントはあるでしょうか。
bitFlyer FXにもスワップポイントはあります。ホームページによりますと、2018年5月現在のスワップポイントは以下の通りです。
- 買い:0.04%の支払い/日
- 売り:0.04%の支払い/日
スワップポイントの注意点
買いも売りも支払いになっていることに注意が必要です。FX(外国為替証拠金取引)の世界では、買いまたは売りのいずれかがマイナスの場合、もう一方はプラスであることが多いです(両方ともマイナスの場合もありますが)。
しかし、仮想通貨のレバレッジ取引におけるスワップポイントとは、「レバレッジ手数料」「ポジション管理料」などと同等です。スワップポイント獲得を狙って長期間ポジションを持つというトレード手法が使えませんので注意しましょう。
また、スワップポイント金額が確定する時刻、そしてその金額が証拠金(口座入金額)に反映される時刻を確認しましょう。
- bitFlyer FXのスワップポイント金額確定時刻:毎日00時00分00秒
- スワップポイントが証拠金に反映されるとき:建玉を決済したとき
毎日00時00分00秒にスワップポイントの支払いが確定します。よって、その前にポジションを決済するとスワップポイントの支払いを回避できます。
なお、「ポジションを決済する」あるいは「建玉を決済する」とは、現在の取引を終了することを言います
例えば、買いで取引を始めた場合は、その買っている数量を売ることによって取引を終了できます。売りで取引を始めた場合は、その売っている数量を買い戻すことによって取引を終了できます。
また、スワップポイントの支払金額確定時期と、その支払いが証拠金に反映される時期が異なることにも注意が必要です。
支払いのスワップポイントが大きくなる場合は、利益が出たと思って決済してみたら、スワップポイントのおかげで損していた!ということもあり得ますので気を付けましょう。
bitFlyer FXのトレード手法
スワップポイントは買いも売りもマイナスですから、買ってずっとポジションを持つことによってスワップポイントを得るという方法(すなわち、スワップ派)のトレード方法が使えません。
では、このスワップポイントの大きさ(0.04%の支払い/日)はどれくらいの大きさなのでしょうか。
1日当たり0.04%と言われても、あまりピンときません。そこで、年率で考えてみましょう。預貯金金利などを考えるときは年利で考えますから、年率の方が分かりやすいでしょう。
0.04%×365日=14.6%
14.6%となりました。年率14.6%ということは、「消費者金融のローン金利並」ということです。
皆様は、カードローンや消費者金融で借金したお金で株式投資をしようと思いますか?決してしようとは思わないでしょう。また、それをしたいと友人知人に伝えれば、彼らは必至であなたにやめるように言うでしょう。
なぜなら、「危険だから」です。
bitFlyer FXの場合、借金ではないので元本の支払いは不要です。しかし、毎日毎日00時00分00秒を迎えるたびに、消費者金融並の金利を支払う義務が出てしまいます。毎日00時00分00秒を迎える前に決済すれば、1円もスワップポイントを支払う必要がありません。
以上のことから、bitFlyer FXのトレード手法が見えてきます。
- bitFlyer FXでトレードするなら、デイトレードが良いでしょう
- 日付をまたぐトレードもしても良いが、長期間の継続はリスクが大きいだろう
以上のことが言えると考えられます。bitFlyer FXのトレードで経費を少しでも小さくするには、短期勝負です。
買って長期で持ちたいんだけれど・・・という場合は、bitFlyer FXでのトレーではなく、取引所でビットコインの現物を買いましょう。そうすれば、スワップポイントを支払う必要がありません。
長期勝負の場合は、「取引所でビットコインの現物買い」でしょう。
bitFlyer FXが活発に利用される理由
以上の文章を読むと、ビットコインのレバレッジ取引はとても危険に見えます。しかし、現実には多くの人がbitFlyer FXを利用しています。その理由は何でしょうか。いくつかあるでしょう。
理由1:値動きとスワップポイントの比較
ビットコインは、値動きが大きいです。1日で10万円くらい動くこともあります。例えば、ビットコイン価格が100万円だとしましょう。1日で10万円動くとき、価格変動率は10%です。
一方、スワップポイント(レバレッジ手数料)は0.04%です。
価格変動率:10%
スワップポイント:0.04%
価格変動率とスワップポイントの差は、250倍もあります。これだけの差があれば、短期取引において、スワップポイントは誤差の範囲だとして無視できるでしょう。
理由2:売りから取引を始められる
ビットコインの現物取引の場合、最初に買います。そして、価格が上昇したら売って利益を狙います。売りから始めることはできません。すなわち、下落トレンドの場合はトレードが大変難しくなります。
しかし、bitFlyer FXの場合、売りから取引を開始できます。売って、価格が下がったら買い戻せば利益になります。
現物取引:価格上昇局面で稼げる
bitFlyer FX:価格上昇局面でも下落局面でも稼げる
価格変動は、上昇または下落です。2種類しかありません。現物取引の場合、その2種類のうちの1つ(上昇)で利益を狙います。bitFlyer FXの場合、両方で利益を狙います。どちらが有利だろうか?ということです。
理由3:手元資金より大きな取引が可能
いわゆるレバレッジです。手元資金よりも大きな金額で取引可能です。bitFlyer FXの場合、最大で手元資金の15倍の額で取引可能です。
ただ、ビットコインの価格変動率は大きいです。レバレッジをあまりに大きくすると、損失になる場合に、一気に強制ロスカットになるかもしれません(その逆の場合は、一気に大きく稼げることになりますが)。
大きなレバレッジはリスクを伴いますので、控えめに取引しましょう。
次頁では、ビットコインのレバレッジ取引(FX)と現物取引との間で生じる「価格差」について、”株式取引における価格の仕組み”との違いから検証しています。