

ビットコインを売買する場合、主に2つの形態があります。すなわち、現物取引とレバレッジ取引です。
現物取引は、ビットコインそのものを買ったり売ったりします。買えば、そのビットコインは自分のものになります。一方、レバレッジ取引は、自己資金よりも大きな取引ができる方法です。新規で売買を始めたら、最終的には反対売買して取引を終了します。
現物取引とFXで価格が異なる
2017年12月、ビットコインの現物取引とレバレッジ取引(FX)の間で、価格に大きな差が出ました。ビットフライヤー(bitFlyer)がフェイスブックに投稿した文章を見てみましょう。
BTC/JPYとBTC-FX/JPYにおける価格乖離拡大を抑制するため、乖離方向における発注制限、追加スワップポイントや、手数料徴収等の施策を検討しております。
価格推移を踏まえつつ解説しますと、「ビットコインの現物取引に比べて、FX取引の価格があまりに大きくなっています。そこで、FX取引での価格を引き下げる措置を検討します」ということです。
では、ビットコインの価格差はどれくらいあるでしょうか。ビットフライヤーのチャートで確認しましょう。チャート期間は2017年11月~12月半ばです。

左側は、レバレッジ取引(FX)の価格推移です。右は現物価格です。似たような動きになっていますが、チャート右側部分の形状が大きく異なります。また、価格水準もかなり違います。
- レバレッジ取引の最高値:2,931,424円
- 現物取引の最高値:2,312,100円
同じビットコインの売買なのに、価格が60万円以上も異なります。これは大きな違いです。現物取引とレバレッジ取引で価格が異なるのは、ビットフライヤーだけではありません。例として、ビットポイント(BITPoint)を見てみましょう。

ビットフライヤーとほぼ同じ時間帯に取得したパネル情報です。現物取引とレバレッジ取引で同じような価格だと分かります。しかし、同じではありません。
なぜ、現物取引とレバレッジ取引(FX)で価格差が生じるのでしょうか。参考までに、株式取引の場合を確認しましょう。
株式取引では、価格の乖離は生じない
株式市場でも、レバレッジ取引ができます。信用取引です。しかし、株式の売買においては、現物取引と信用取引で価格は全く同じです。現物の場合1,000円で買えるけれど、信用取引だと1,500円必要だ!ということはありません。
これは、同じ市場で売買しているからです。
現物でも信用取引でも、同じものを売買します。同じものを売買するならば、現物でも信用でも価格は全く同じになります。価格差を出そうとしても出せません。

ビットコインの取引市場
株式市場の例を見て言えることは、ビットコインで現物とレバレッジ取引(FX)の価格が異なる理由は、「取引市場が別だから」ということになります。

ビットコインの現物取引でも、取引所が異なれば価格は同一ではありません。これと同じ事が言えます。
では、ビットコインの現物市場が大幅に安くなったら買って、レバレッジ取引(FX)の市場で売れば儲かるな!ということになりますが、残念ながらそれはできないようです。市場が完全に分割されており、行き来できないからです。
現物市場で売買する場合は、現物市場で勝負します。同様に、レバレッジ市場で売買する場合は、レバレッジ市場で勝負します。
レバレッジ取引(FX)の価格が大幅に高い理由
では、bitFlyerでFX価格が大幅に高くなった理由は何でしょうか。現物取引と比べて60万円も高いというのは、誤差の範囲とは言えないでしょう。根拠ある説明は困難ですが、予想してみましょう。
理由1:強気のユーザーが多い
今後のビットコイン価格は上昇すると思えば、ビットコインを買います。しかし、ビットコインを現物で買うと、買える数量は自分の手持ち資金の大きさに限定されます。本当はもっと大きく買いたいのに、自己資金が十分でないという状況です。
この場合、レバレッジ取引(FX)で買うことが選択肢となります。なぜなら、自己資金よりも大きな売買ができるからです。
bitFlyerのFX市場においては、「強気派」のユーザーが多いのかもしれません。
理由2:弱気なユーザーが少ない
逆に、「ビットコイン価格はもう高すぎだ。これからは下落するだろう」と考えるユーザーもいるでしょう。価格下落局面で積極的に利益を狙うには、レバレッジ取引(FX)で売ることになります。
この「弱気派」のユーザーが多ければ、ビットコイン価格は下落するでしょう。しかし、強気派に比べてかなり少ないのだろうと予想できます。
価格差でユーザーの心理を理解できる可能性
以上の通り考察しますと、現物市場とFX市場の価格差を見れば、ユーザー全体の意識がどちらに向いているのか、何となく見えてきます。
冒頭のチャートでは、bitFlyerではレバレッジ取引(FX)市場の価格が現物よりもはるかに高い金額です。この場合、将来の価格に強気なユーザーが多い(または、大きな資金を投入したユーザーがいる)と考えることができます。
この価格差を分析すれば、ビットコイン価格推移の特徴が見えてくるかもしれません。
次頁では、損切りや塩漬けが不要な「先物取引」を紹介します。