

ICOのメリットやデメリットが明らかになるにつれて、各国もICOの法規制に乗り出しています。そこで、各国のICO規制の状況を確認しましょう。(データ及び画像はpwcからの引用です)。
各国のICO規制
各国・地域のICOに対する姿勢は以下の通りです。下の世界地図で、色の意味はそれぞれ以下の通りです。
- 黄色:ICOに好意的
- オレンジ:ICO警戒、法規制あり
- 赤:ICO禁止
- 灰色:法規制なし
【2018年3月】

【2018年4月】

2018年3月時点と比べると、日本のICOに対する姿勢が「警戒・規制有り」から「好意的」に変わり、「禁止国」に新たにインドが加わりました。
多くの国でまだ法規制がないこと、そして、法規制がある国の多くがオレンジ色(ICO警戒、法規制あり)であることが分かります。3月、4月の件数を数えますと、以下の通りです。
2018年3月 | 2018年4月 | |
---|---|---|
好意的 | 13(23.2%) | 14(24.5%) |
警戒 | 39(69.6%) | 38(66.6%) |
禁止 | 4(7.1%) | 5(8.8%) |
各国・地域の法規制の特徴
上の地図を見ると、オレンジが大半のように見えます。しかし、国・地域ごとに数を数えると、ICOに好意的な数がかなり多いことが分かります。
「好意的」に分類された国・地域は以下の通りです。
大陸別 | 2018年3月 | 2018年4月 |
---|---|---|
アフリカ(2) | ・モーリシャス | ・モーリシャス |
アジア(15) | ・アブダビ ・香港 ・イスラエル ・シンガポール |
・アブダビ ・香港 ・イスラエル ・日本 ・シンガポール |
オーストラリア(2) | - | - |
ヨーロッパ(32) | ・エストニア ・ジブラルタル ・ジャージー ・リヒテンシュタイン ・スロバキア ・スイス ・マン島 |
・エストニア ・ジブラルタル ・ジャージー ・リヒテンシュタイン ・スロバキア ・スイス ・マン島 |
北アメリカ(3) | バミューダ諸島 | バミューダ諸島 |
南アメリカ(3) | - | - |
ざっと眺めますと、何となく特徴が見えてきます。
(1)小国が多い。
(2)ICOに限らず先進的な内容を積極的に取り入れる傾向がある。
などです。
逆に、「禁止」に分類された国・地域は以下の通りです。
大陸別 | 2018年3月 | 2018年4月 |
---|---|---|
アフリカ(2) | - | - |
アジア(15) | ・中国 ・マカオ ・韓国 |
・中国 ・インド ・マカオ ・韓国 |
オーストラリア(2) | - | - |
ヨーロッパ(32) | ・セルビア | ・セルビア |
北アメリカ(3) | - | - |
南アメリカ(3) | - | - |
禁止は少数派ですが、そのうち4つがアジアという結果になりました。ICOを禁止すると、ICOに関連した技術の発展を捨てることになります。そのデメリットよりも、ICOを禁止するメリットの方が大きいと判断したのでしょう。
日本の法規制の評価
なお、このデータの引用元であるpwcの評価によると、日本の法規制は以下の通り評価されています。
【2018年3月】

簡潔に訳しますと、以下の通りです。
「金融庁は、おおむねICOのリスクに警戒姿勢である。仮想通貨の特徴を持ったトークンは資金決済法により規制され、登録が必要である。そのトークンが投資の性質を持つならば、ICOは金融商品取引法により規制される。」
日本は、以前は仮想通貨に対して比較的寛容な姿勢だったように見えます。しかし、2018年3月時点では、大幅に方針を変更しているようにも見えます。「警戒・規制有り」から「好意的」に変化した4月も確認してみましょう。
【2018年4月】

簡潔に訳しますと、以下の通りです。
日本はICOの法整備に動き出している。政府に近い研究会が、ICOに好意的なガイドライン案を提示した。このガイドライン案は、身元確認やマネーロンダリング防止を含んでいる。金融庁はこの提案を2018年4月末までに精査し、長期的な基準として法制度に採用するかどうか検討する可能性がある。
この提案は、ICOを証券と明確にみなすことを避けている。しかし、ICO実施者は、どのように資金を集めるか、どのように利益や資産をトークン保有者に分配するかを明らかにできるようにしなけらばならない。ICO登録に関し、仮想通貨取引所設立のための業界全体の基準は修正されるべきである。
行き過ぎた法規制は、日本における仮想通貨関連のイノベーションを阻害する可能性があります。しかし、規制が緩すぎると、今までと同じ問題が再発してしまうかもしれません。
今後の法規制の行方に注目しましょう。